現在リスティング広告を運用中、もしくはこれから運用を開始する企業では、運用を代理店に依頼すべきか、内製化して運用すべきかで悩むことがあるでしょう。リスティング広告をインハウスで運用する場合、メリットもあればデメリットもあります。両方を理解した上でどうするか検討しましょう。
今回はリスティング広告の運用を内製化するメリットとデメリット、注意点を解説します。
目次
リスティング広告を内製化するメリット
リスティング広告の運用を内製化するメリットとして以下のものが挙げられます。
コミュニケーションを取りやすくスピード対応が可能
リスティング広告を運用する人間が社内にいることで、コミュニケーションが取りやすく、社内での決定事項を運用にすぐに反映させることができます。
代理店に運用を依頼している場合、「社内の決裁者⇒代理店とやり取りをしている社員⇒代理店」というように何段階かのコミュニケーションが発生するため、時間がかかる上に齟齬が生じるリスクもあります。また、代理店の休業日に当たってしまうと対応が翌日以降になることもあります。
例えば工具の通販サイトのリスティング広告を運用する場合、特定の工具を用いた事件が発生してしまうとその工具名での検索が増えることがあります。広告のクリックも増えてしまう可能性があり、そのようなときにすぐに広告を停止できる人が社内にいれば安心でしょう。
商品・サービスを理解した上での運用が可能
リスティング広告を内製化できれば、社内の人間が運用しているわけですから、商品・サービスへの理解に基づいた運用が可能になります。
リスティング広告では検索結果に表示させる広告文を作成したり、広告をクリックした後に表示させるランディングページ(LP)の内容について考えたりする必要があります。その際にどのような表現にするのか、商品やサービスへの理解が足りない人では適切な表現を選択することは難しいでしょう。同じことを表現するにしても、どの単語を用いるのかでターゲットに与える印象は変わります。
代理店に運用を依頼している場合、その機微が伝わりづらく、代理店が作成した広告文やLPに広告主が納得できないというケースも珍しくありません。だからといって広告主側が主体となって広告文やLPを考えてしまえば工数がかかり、代理店に依頼するメリットが少なくなってしまいます。また、どのようなターゲット層を狙って広告を配信するのかといったところからズレが生じることもあります。そうなればリスティング広告を配信しても、成果を得ることはできないでしょう。
社内で運用ノウハウを蓄積できる
リスティング広告を内製化できればノウハウを社内で蓄積できます。ノウハウを蓄積しておけば、担当者の入れ替わりや急な病欠などがあっても対応しやすくなるでしょう。また、会社所有のリスティング広告のアカウントで運用できるため、過去のデータはいつでも閲覧できます。
代理店に運用を依頼している場合は代理店所有のアカウントを使用し、契約解除後はそのアカウントを利用できなくなるケースが多いです。そのため他の代理店に乗り換えたり、インハウス化しようと思ったりしても、以前の運用内容を引き継げず一からの運用となってしまいます。
運用手数料が発生しない
リスティング広告の運用代理店を利用する場合、広告掲載にかかった広告費(実費)以外に、広告代理店に支払う運用手数料が発生します。運用手数料の金額は代理店によって異なりますが、広告費の20%を手数料とするケースが多いです。そのため積極的に広告を配信するために広告費を増やすと、自ずと手数料も増えてしまうという問題があります。
リスティング広告の運用を内製化できれば、こういった運用手数料は必要ありません。ただし運用担当者の人件費や採用コストはかかるため、その点は注意が必要です。詳しくは次の章で後述します。
リスティング広告を内製化するデメリット
リスティング広告の運用を内製化するデメリットについて解説します。
人材確保の問題
リスティング広告について何も知らない人にいきなり運用を依頼するのはリスキーです。リスティング広告には知識とスキルが必要なため、むやみに運用しても良い結果は得られないでしょう。一から始めるにはまずは知識の吸収から始めなければいけないため、成果が得られるまでに時間がかかってしまいます。既存の業務をすでに受け持っている社員にリスティングの運用を追加して任せる場合は、既存業務の圧迫にも繋がります。
一方、リスティング広告の運用経験者を新たに採用し、専任担当者として置くことも可能ですが、採用コストや新たな人件費が発生します。運用経験者を採用するとなればそれなりのコストが必要です。
広告費の20%を手数料とする代理店がほとんどですが、それ以外の料金体系を取り入れている代理店も存在します。手数料が月額固定になっている代理店では、運用内容次第では内製化するよりも代理店に依頼した方がコストを抑えられるケースもあります。
運用ノウハウの蓄積に限界がある
自社のリスティング広告のみを運用していては運用ノウハウの蓄積スピードに限界があるでしょう。やはり複数社のリスティング広告を運用している代理店の方が、様々な運用手法を試すことができ、あらゆる状況に対応した運用方法を身につけることができます。
媒体社とのつながりが薄く、情報収集も遅れやすい
媒体社は代理店向けに専用の窓口を設けていたり、各代理店に専任担当者をつけていたりすることがあります。そのため代理店は媒体社との密なコミュニケーションが可能となり、運用に活用できる最新情報をスピーディーに獲得できます。また、代理店同士の横の繋がりなどもあり、様々な情報が自然と集まってきやすい環境にあると言えるでしょう。
リスティング広告を内製化している場合は、収集できる情報の質や種類、収集スピードはどうしても代理店に劣ってしまうことが多いのです。
リスティング広告を内製化する際の注意点
リスティング広告の運用を内製化するメリットとデメリットの両方を理解した上で、インハウス化するかどうかを検討しましょう。この章ではリスティング広告の運用を内製化する際の注意点をまとめます。
担当者の退職による不全を防げるか
もし社内の運用担当者が一人であるなら、その人が退職すれば運用も止まってしまうことになります。仮に後任を決めて引き継ぎをおこなったとしても、後任にスキルや知識が不足していれば前任者と同様のパフォーマンスを出すことは難しいでしょう。
複数人のチームで運用していたとしても、適切な評価をしなければ担当者のやる気が減退し、退職に繋がりやすくなってしまいます。頻繁に退職と新規人材の採用を繰り返していては、リスティング広告の運用改善が進むことはないでしょう。
営業や総務など、役割によって評価基準が異なるように、リスティング広告運用者にも専用の評価基準を設けるべきです。もしリスティング広告の運用を内製化するのであれば、運用者に対する適切な評価制度を構築しておくことが大切です。
本当にコスト削減になっているか
リスティング広告の内製化によって、代理店に支払う運用手数料をカットすることができます。しかし社内に担当者を設ければ、その採用コストや人件費がかかります。また、担当者が辞めやすい環境の場合は、そのたびに新たな担当者を置く必要があり、採用コストの増加に繋がります。
さらに、リスティング広告の運用は商品の売り上げや契約獲得数に影響を与えます。リスティング広告の運用がうまくいっていればそれだけ売上や契約数を増やすことができるでしょう。そのため運用者にはスキルや知識が求められ、スキルや知識のある人材は採用コストが高くなりやすい傾向にあります。
前述したように、代理店によっては月額固定制の運用手数料となっており、内製化するよりも低コストでリスティング広告を運用することができます。内製化したからといってコストを抑えられるとは限りません。安易に「コスト削減=内製化」と考えずに、代理店とインハウスでコストパフォーマンスが良いのはどちらか、よく考える必要があります。
半内製化がおすすめ
リスティング広告の内製化にはメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。そのため、いきなり内製化するよりも代理店を積極的に活用していくべきです。これからリスティング広告を利用し始めようとする場合は、まずは運用を代理店に依頼し、代理店とのコミュニケーションを通して社内の担当者が知識を付けていくことをおすすめします。
内製化する際は一部の作業を代理店に委託し、社内担当者と代理店の両方の視点で運用内容を見直せる状態を維持すると良いでしょう。社内の人間だけで運用をおこなうと、どうしても自社の商品やサービスを好意的に見てしまいますが、代理店を利用すれば第三者の視点を取り入れることができます。また、代理店と繋がっておくと情報収集の面でも有利です。内製化のデメリットを抑えながらメリットを得られる「半内製化」を目指してみましょう。
まとめ
リスティング広告運用の内製化のメリット、デメリット、注意点を解説しました。
インハウスでのリスティング広告の運用を検討するなら、すべてを社内で完結させるのではなく、代理店を活用した半内製化がおすすめです。一部の作業を代理店に依頼したり、定期的な運用コンサルティングを受けたりできる伴走型の代理店を利用すれば、コストを抑え、社内の工数を削減しつつ、スピード感のある運用改善を実現できるでしょう。
ジャックアンドビーンズでは月額固定制の手数料により、コストを抑えた運用改善が可能です。代理店にすべてを任せたい場合でも、半内製化を目指したい場合でも、まずはお気軽にご相談ください。