リスティング広告は意味ない?効果ないと判断する前に見直すべきポイント

リスティング広告を運用していて、「リスティング広告は意味がない、効果がない」と思ってしまう広告主の方がいます。いくら広告を配信していても予約や購入などの成果に繋がらない、成果が出ても単価が高いといった理由です。

しかし実は運用方法を見直してみることで改善されるケースもあります。今回は「リスティング広告は意味がない、効果がない」と感じている広告主の方が見直すべきポイントについて解説します。

まずは効果について定義しよう

まずは効果について定義しておきましょう。

リスティング広告における成果(コンバージョン)といえば、飲食店やクリニック、ホテルなどであれば予約、ECサイトであれば購入、その他では問い合わせや無料相談などが挙げられます。何を目的にリスティング広告を配信するのかを明確にしておかなければいけません。

また、1件の成果あたりいくらコストを掛けていいのかも決めておく必要があります。その条件を満たしたときに「効果がある・意味がある」と言え、条件を満たさないときに「効果がない・意味がない」と判断すべきでしょう。

また、現時点では条件を満たさずに「効果がない・意味がない」と判断していても、運用方法を見直すことで条件を満たせるようになることもあります。なぜ運用方法を見直すことで成果数(CV数)や成果単価(CPA)を改善できるのか、次の章で解説します。

リスティング広告は因数分解

リスティング広告は因数分解で考えることができます。因数分解的思考ができれば、どこをどのように改善すれば目標値をクリアできるのかが見えてくるでしょう。

成果単価(CPA)を分解する

まずは成果単価(CPA)が何で決まるのか考えてみましょう。成果単価(CPA)は次の式で表されます。

成果単価(CPA)=コスト÷成果数(CV数)・・・①

これだけ見るとコストを下げるか、成果数を増やすかすれば成果単価(CPA)は下がることが分かりますが、実際の運用に反映するには具体的にどうすればいいのか分かりづらいと思います。そこで、クリック単価(CPC)の式を見てみましょう。

クリック単価(CPC)=コスト÷クリック数・・・②

①の式と②の式の両方に「コスト」が含まれています。ここで①の式と②の式と「コスト=」の形に変形すると、次の式が現れます。

成果単価(CPA)×成果数(CV数)=クリック単価(CPC)×クリック数・・・③

ここで成果率(CVR)の式を見てみます。

成果率(CVR)=成果数(CV数)÷クリック数・・・④

③の式で右辺の「クリック数」を左辺に移動すると、

成果単価(CPA)×成果数(CV数)÷クリック数=クリック単価(CPC)・・・⑤

となり、⑤の式の左辺の中に④の式で表される成果率(CVR)が含まれることが分かります。つまり、

成果単価(CPA)×成果率(CVR)=クリック単価(CPC)
成果単価(CPA)=クリック単価(CPC)÷成果率(CVR)・・・⑥

となります。⑥の式から分かるように、成果単価(CPA)を下げたいときは、クリック単価(CPC)を下げるか、成果率(CVR)を上げればいいわけです。

クリック単価(CPC)を分解する

クリック単価(CPC)を下げるにはどうすればいいのかというと、クリック単価(CPC)を決める要素が何であるかを考える必要があります。

クリック単価は広告表示の機会がある際におこなわれるオークションで毎回決定されます。オークションでは広告ランクという指標を各広告が競い合い、広告ランクが高い順に広告表示の機会が与えられます。広告ランクは、

  • 入札単価
  • オークション時の広告の品質(推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性など)
  • 広告ランクの下限値
  • オークションにおける競争力
  • ユーザーが検索を行ったときの背景情報(ユーザーの所在地、デバイス、検索時間、検索語句の性質、ページに表示されるその他の広告と検索結果、その他のユーザーシグナルと属性)
  • 広告表示オプションなどの広告フォーマットの見込み効果

によって決まります。広告ランクを決める要素は複数ありますが、特に大きな要素として入札単価と広告の品質が挙げられます。つまり、

広告ランク=入札単価×広告の品質(+その他の要素)・・・⑦

と捉えることができます。

実際のクリック単価(CPC)は入札単価では決まりません。広告ランクの順に広告を並べたとき、1個下の広告の広告ランクを上回るために必要な最低金額が実際のクリック単価(CPC)になります。つまり、広告の品質を高めれば入札単価が低くても広告ランクを高くすることができ、実際のクリック単価(CPC)を抑えられることが分かります。

そして広告の品質は

  • 検索内容に対する広告の関連性
  • ユーザーが広告をクリックする可能性の高さ
  • ランディングページへ進んだユーザーに提供されるエクスペリエンスの質

などの複数の要素によって決定されます。

つまり、クリック単価(CPC)を下げるには広告の関連性を高め、クリック率(CTR)を高め、ランディングページ(LP)の利便性を高めることが有効である事が分かります。

成果率(CVR)を分解する

成果率(CVR)は前述したように、

成果率(CVR)=成果数(CV数)÷クリック数・・・④

で表されます。つまり、成果数(CV数)を増やすか、クリック数を減らせば成果率(CVR)は高くなります。

成果数(CV数)を増やすにはいくつかの方法が考えられます。

  • 広告の出稿を強めて母数である表示回数を増やす
  • 商品・サービスに競合他社と比べて多くの強みを持たせる
  • ランディングページ(LP)の利便性を高める
  • CVポイントを複数用意する(例.問い合わせと無料体験など)

などです。

また、クリック数を減らすには、CVしづらいキーワードでの広告出稿を弱める・止める、関連のない検索に対して除外キーワードを設定するなどが考えられます。成果数(CV数)を増やすために広告の出稿を強める場合、全体を強めてしまうとクリック数も増えてしまい成果率(CVR)の向上には繋がりません。CVしづらいキーワードを弱め、CVしやすいキーワードを強めるといった調整が必要です。

成果単価(CPA)を下げるには

ここまでの内容を踏まえると、成果単価(CPA)を下げるには、

  • 広告の関連性を高める
  • クリック率(CTR)を高める
  • ランディングページ(LP)の利便性を高める
  • CVしやすいキーワードへの配信を強め、CVしづらいキーワードへの配信を弱める
  • 商品・サービス自体をより良いものにする
  • CVポイントを複数用意する
  • 除外キーワードを設定する

などの対策が有効であることがわかります。

このように因数分解することができれば、リスティング広告の運用を改善する具体的な方法がわかります。運用改善ができれば、「意味ない・効果ない」と思っていたリスティング広告が、「意味ある・効果ある」マーケティング施策に変化するでしょう。

リスティング広告は効果がないと感じたときに見直すべきポイント

リスティング広告は効果がないと感じたときに取るべき具体的なアクション例の一部を紹介します。「リスティング広告は意味ない・効果ない」と考え、配信を辞めてしまおうと考えている場合は、次の点を見直してから再度リスティング広告を止めるか続けるか検討してみましょう。

コンバージョンを計測できているか

そもそもコンバージョン(CV)を計測できていないというケースがあります。リスティング広告のCV計測タグをサイトに設置していない、設置方法が間違っている、設置しているがタグは正常に発火していない、といったケースです。

CV計測タグをサイトに設置していない場合、まずは設置しましょう。設置をしたら必ずテストCVを行い、正常にタグが発火することを確認する必要があります。

ユーザーがフォームに到達しているか

予約や購入、問い合わせなど、CVするためにはユーザーがフォームに到達する必要があります。しかしフォームのページにエラーが生じていたり、フォームの場所が分かりづらくフォームまで遷移できていなかったりという理由により、フォームに到達する前にユーザーがサイトから離脱してしまう場合があります。

Googleアナリティクスを用いて、ユーザーがフォームまで到達しているのかを確認しましょう。

ランディングページ(LP)は機能しているか

サーバーエラーやドメインの有効期限切れなど、ランディングページ(LP)が開けない場合、広告をクリックしてもユーザーはLPにすら到達できないのですから、CVまで至ることができません。

LPが機能しているか、実際にURLを入力して確認してみましょう。

ユーザーが広告をクリックしているか

リスティング広告の管理画面でクリック数を確認しましょう。クリックが0の場合、入札単価が低すぎて広告が表示されていない可能性があります。

また、クリックはされているもののクリック率(CTR)が低い可能性があります。クリック率を上げるために広告文の見直しや広告表示オプションの活用などの対策が必要です。

予算は足りているか

1日の予算に達してしまうと配信は終了してしまいます。配信時間が数時間や数分で終わってしまった場合、そもそも多くの人に広告を見てもらえていません。狙っているキーワードのクリック単価(CPC)の相場から見て明らかに予算が低すぎるか、貴社広告のクリック単価(CPC)が高すぎる、クリック数が多いがCVに繋がっていないなどが考えられます。

競合他社との差を訴求できているか

リスティング広告がクリックされたからといって必ずしもCVされるとは限りません。ユーザーは競合他社の広告や公式ホームページを複数見て比較し、その結果でどこでCVするか決めています。

競合他社と比べて、値段が安いのか、質が高いのか、機能が優れているのかなど、どのような差があるのかを広告文やLPなどでしっかり伝える必要があります。

クリック単価(CPC)を抑えるための工夫ができているか

クリック単価を抑えるためには、検索キーワードにふさわしい広告文やLPを用意したり、広告オプションを活用したりが必要です。細かな設定になりますが、手間を掛けた分、クリック単価(CPC)に返ってきます。

そもそも商材としてリスティングに向いていない場合もある

100円ショップなど、1回あたりの購入に対して得られる利益が少ない場合、クリック単価(CPC)の許容上限が低くなってしまい、リスティング広告を配信してもプラスにならないことがあります。また、ターゲットとなるユーザー層に合っていない、ユーザーのニーズが検索行動として表れないなど、そもそも商材としてリスティングに向いていない場合もあるということを覚えておきましょう。

リスティング広告は効果がないと思ったら

リスティング広告は意味がないと思ったときに見直すべきポイントを紹介してきました。運用方法を見直して改善できれば、リスティング広告は非常に意味あるもの・効果のあるものになるかもしれません。

しかし、なかなか原因となっている箇所を見つけられないこともあるでしょう。そのようなときはリスティング広告の運用代行を利用してみることをおすすめします。リスティング広告の代理店は、因数分解的思考での運用改善に慣れているため、貴社のリスティング広告の問題点を見つけ、適切な改善方法を選択してくれるでしょう。

次の記事ではリスティング広告の代理店の選び方を解説しています。是非こちらの記事もご一読ください。

まとめ

リスティング広告は意味がない・効果がないと思ったときに、どのように運用改善をおこなうか、見直すべきポイントについて解説しました。

ジャックアンドビーンズは多様な業種、様々なケースでのリスティング運用改善の経験があります。もしリスティング広告は意味がない・効果がないと思っているのであれば、是非ジャックアンドビーンズにご相談ください。アカウントの無料診断も受け付けていますので、ボトルネックを見つけ、具体的な改善案をご提案いたします。