GA4(Googleアナリティクス4)の5つのメリット|より使いやすい、時代に即したアナリティクスの変化とは

前回の記事「GA4(Googleアナリティクス4)とは?ユニバーサルアナリティクスとの違いやメリット・注意点を解説」では、GA4の概要、ユニバーサルアナリティクス(以下、UA版と記載)との違いについて解説しました。UA版からGA4へ切り替えるメリットについても軽く触れましたが、本記事ではそのメリットについて、より詳しく解説したいと思います。

おさらい:GA4へ切り替えるメリット

前回の記事では、UA版アナリティクスからGA4に切り替えるメリットとして、次の5つの項目を紹介しました。

  • データ計測の設定が容易になる
  • ウェブサイトとアプリをまたぐユーザー行動を分析できる
  • 新指標「予測指標」によりユーザーの今後の行動を予測できる
  • GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に準拠したデータ収集が可能になる
  • BigQueryへデータエクスポートが可能になる

それぞれの項目について、具体的にどのようなメリットなのかを解説します。

データ計測の設定が容易になる

サイト内検索やファイルダウンロードなど、UA版アナリティクスではイベント計測のために都度設定が必要でした。アナリティクス上での設定だけでなく、コードの作成とウェブサイトへの設置が必要な場合もあり、人によってはハードルの高い作業となってしまっていました。また、設定をしてみても他のコードとの干渉などにより正しく計測できないケースもあり、中には計測を諦めてしまうという企業や個人もいました。

しかしGA4では、オン/オフの設定だけで計測が可能になるイベントがいくつかデフォルトで用意されています。

  • ページビュー数
  • スクロール数
  • 離脱クリック
  • サイト内検索
  • 動画エンゲージメント
  • ファイルのダウンロード

設定画面の「データストリーム>ウェブストリームの詳細」で拡張計測機能をオンにし、設定ボタンをクリックすることで、各イベントのオン/オフを設定することができます。コードの設定や設置が不要となるため、ウェブ制作の知識が少ない人でも簡単に計測が可能になります。

なお、上記以外のイベント計測を行いたい場合は、UA版アナリティクスと同様に個別に設定が必要となります。

ウェブサイトとアプリをまたぐユーザー行動を分析できる

アプリを利用している際にヘルプや問い合わせを開くとウェブサイトに繋がったり、ウェブ検索で開いたページをアプリで開いたりした経験はないでしょうか。今では公式サイトだけでなく公式アプリも用意している企業が増えてきており、ウェブサイトとアプリを横断するユーザー行動が珍しくなくなってきています。

UA版アナリティクスでは、アカウントの構造が「アカウント>プロパティ>ビュー」という3段構造となっていましたが、GA4では「アカウント>プロパティ>データストリーム」へ変更されました。データストリームとはデータを計測する場、つまりウェブサイトやアプリのことで、「iOS」「Android」「ウェブ」の3種類に分けられます。

GA4ではこのように同一プロパティ内で対象のウェブサイト、アプリを指定できるようになることで、ウェブサイトのデータとアプリのデータを統合することが可能となり、両者をまたぐ行動でも同一ユーザーとして認識して分析することが可能になっています。ウェブサイトアプリの両方を提供する企業や個人にとって、より正確なデータ収集、分析が実現します。

新指標「予測指標」によりユーザーの今後の行動を予測できる

GA4ではGoogleの機会学習モデルを利用して、ユーザーの今後の行動を予測することが可能です。予測できる行動は次の3つです。なお、GA4のデータ共有設定でベンチマーク設定を有効にすると、モデルの品質を高めて予測精度を向上させることができます。

  • 購入の可能性:過去28日間に操作を行ったユーザーによって、今後7日間以内に特定のコンバージョンイベントが記録される可能性
  • 離脱の可能性:過去7日間以内にアプリやサイトで操作を行ったユーザーが、今後7日間以内に操作を行わない可能性
  • 予測収益:過去28日間に操作を行ったユーザーが今後28日間に達成する全購入コンバージョンによって得られる総収益の予測

今後の売上を予測するだけでなく、コンバージョンに至る可能性の高いユーザーに対してGoogle広告を出稿するなど、売上を増やすための施策にも利用することができます。

ただし、予測指標を利用するには次の要件を満たす必要があります。

  • 購入ユーザーおよび離脱ユーザーのポジティブサンプルとネガティブサンプルの最小数。関連する予測条件をトリガーしたリピーターが過去28日の間の7日間で1,000人以上、トリガーしていないリピーターが1,000人以上必要。
  • モデルの品質が一定期間維持されていること。
  • 購入の可能性と離脱の可能性の両方を対象とするには、プロパティはpurchase(収集が推奨されるイベント)とin_app_purchase(自動的に収集されるイベント)の少なくともどちらか一方を送信する必要がある。purchaseイベントを収集する場合、そのイベントのvalueとcurrencyパラメータも収集する必要がある。

これらの要件を満たして予測指標を利用できるか否かは、「設定>オーディエンス>オーディエンスの新規作成>オーディエンスの候補>予測可能」でステータスを確認できます。なお、以前は要件を満たしており予測指標を利用できていたとしても、要件を満たさなくなった場合は予測の更新が自動で停止して機能を利用できなくなります。

GDPRやCCPAに準拠したデータ収集が可能になる

GDPR(EU一般データ保護規則)とは、2018年5月25日に施行された、個人データの保護や取り扱いについて定められたEU域内で適用される法令のことです。「EU域内に適用される」というのは、EU域内の企業だけに限らないため注意が必要です。個人データを収集する組織、個人データを使用する組織、データの対象である個人のいずれかがEU域内に拠点をおけば対象となります。つまり日本国内の企業でも、EU域内の個人をターゲットとした事業を展開する場合などは大きく関わる法令です。

CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)とは、2020年1月から適用となった、アメリカカリフォルニア州の住民の個人データ保護を定めた州法です。GDPRと同様、カリフォルニア州の住民を対象とした事業を展開する企業にとっては無視できない法令です。

個人情報の保護は年々重視されてきており、今後も新たな法令や規制ができる可能性は否めません。UA版アナリティクスでは年々ユーザーの情報を取得しづらい状況となっており、特にCookieの利用が制限されつつある中でアナリティクスの限界が見えてきていました。

そこでGDPRやCCPAに準拠しつつも、ユーザー行動が追えるように改良がなされ、安心してデータを収集することができるようになったのがGA4です。UA版アナリティクスからGA4に切り替えることで、GDPRやCCPAに準拠したデータ収集が自ずと可能になるわけです。特にEUやカリフォルニア州で事業を展開する企業や個人の場合は、早急にGA4へ切り替えることをおすすめします。

BigQueryへデータエクスポートが可能になる

BigQueryはGoogleが提供するクラウド型データウェアハウスのことで、データウェアハウスとは簡単に言えばデータの倉庫のようなものです。データウェアハウスでは、様々なシステムから膨大なデータを一箇所に集めても、分析しやすいように整理することが可能です。BigQueryは有償のGoogleアナリティクス360で提供されていましたが、GA4では無償でこの機能を利用することができます。

GA4で収集したデータをBigQueryへエクスポートできるため、他の複数データを合わせた高度なデータ分析やDMPとしての活用、マーケティングオートメーションツールへの活用、BIツールを使ったデータの可視化などが容易になります。

SQLが扱えればデータの抽出・分析が可能なため、多くのエンジニアにとっては使いやすいサービスです。社内にエンジニアがいる企業であれば、すぐに利用を開始できるでしょう。

まとめ

今回はGA4のメリットについて詳しく解説しました。

GA4は使いやすさを改良されているだけでなく、時代の変化に合わせた刷新も行われていることをご理解いただけたのではないでしょうか。人の生活や行動が変化すれば、それらを分析するツールも変化しなければなりません。UA版からGA4への切替えによって、よりユーザーの行動を正しく把握できるようになるでしょう。ぜひGA4を活用していきましょう。