ウェブサイトの運営やウェブ広告の運用をしている方は、「GA4(ジーエーフォー)」という言葉を耳にすることが増えたのではないでしょうか。
先日、Googleは従来のGoogleアナリティクスからGA4へ切り替える必要があることを発表しました。従来のGoogleアナリティクスとGA4、両者はどのような関係であり、どのような違いがあるのか、この記事で整理します。GA4について理解したい方はご一読ください。
目次
GA4とは
GA4とは「Googleアナリティクス4」の略称です。Googleアナリティクスとは、Googleが提供するウェブサイト分析ツールで、ウェブサイトを持つ企業や団体、個人のほとんどが利用しているといっても過言ではないGoogleの一大ツールです。
末尾に「4」がつくことから分かるように、GA4はGoogleアナリティクスの新しいバージョンのことで、第三世代のGoogleアナリティクス「ユニバーサルアナリティクス(以下「UA版」と記載)」からのアップデートとなります。
なぜ新しくなったのか
UA版のリリースは2013年、GA4のリリースは2020年で、7年の間にインターネットやアプリに関する技術が大きく発展し、ユーザー行動にも大きな変化があったことを受け、それらを分析するためのGoogleアナリティクスも新しくなる必要がありました。ウェブサイトの分析には従来通りGoogleアナリティクスが、モバイル・ウェブアプリケーションの分析にはGoogleアナリティクスfor Firebaseが提供されていましたが、それらを統合してウェブサイトもアプリも両方を分析できるようになったのがGA4です。
UA版から切り替える必要はある?
2020年10月にGA4が正式リリースされましたが、UA版のGoogleアナリティクスに慣れている方は、ついついGA4への切替えを後回しにしてしまっているというケースも珍しくありません。しかし2022年4月、GoogleがUA版のサービスを2023年7月1日をもって停止すると発表したことにより、GA4への迅速な切替えが必須となりました。最低でも2023年6月30日までには切替えが完了していることが望ましいでしょう。
しかし、UA版とGA4が大きく異なるものであることから、切替えによる数値の差や計測設定のミスに気付くためには、一定期間を両方で計測しておくことをおすすめします。できる限り早い段階でGA4プロパティを作成しておきましょう。
UA版からGA4に変えるメリット
慣れ親しんだUA版からGA4に切り替えるのは面倒に感じるかもしれませんが、UA版のサービス終了が決定している以上、切り替えないわけにはいきません。億劫になるかもしれませんが、GA4に切り替えるメリットを理解し、積極的にGA4を利用していくべきでしょう。
UA版からGA4に切り替えるメリットには以下のものが挙げられます。
- データ計測の設定が容易になる
- ウェブサイトとアプリをまたぐユーザー行動を分析できる
- 新指標「予測指標」によりユーザーの今後の行動を予測できる
- GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に準拠したデータ収集が可能になる
- BigQuery※1へデータエクスポートが可能になる
※1:Googleが提供するビッグデータ解析ツール。以前は有償提供であったが無償提供に変更された。
今やデータ分析は効率的な企業運営に欠かせないものとなっていますが、正確なデータを収集できていなければ、いくら分析しても得られる結果は根拠のないものになってしまいます。
ウェブ上でユーザーが取れる行動が複雑化していること、プライバシーの重視により収集できるデータに制限が掛けられるようになってきていること、そして人間では解析しきれないほどのデータを集められるようになったことにより、UA版の機能だけでは十分な分析は困難です。GA4は、より複雑化・巨大化したデータを、工数を減らしながら分析できるようにした、これからのウェブマーケティングにおいて欠かせないお役立ちツールと言えるでしょう。
UA版から切り替える際の注意点
UA版からGA4に切り替えることには大きなメリットがありますが、切替えにはデメリット・注意点もあります。切替えの作業が発生することや、使用者がGA4について理解を深めなければいけないことはもちろん、次に挙げる点については注意が必要です。
- UA版からGA4へデータを移行できない
- データ保持期間が短くなる
データを移行できないということは、GA4に切り替える以前のデータはUA版で閲覧する必要があり、期間をまたいでのデータ分析には注意しなければいけないということです。一部の指標の計測方法や定義が異なるため、UA版とGA4のデータを一緒に分析する場合、精確なデータとは言えなくなってしまいます。≒として扱って分析するか、UA版で計測していた期間とGA4で計測している期間をわけて分析する必要があります。
またデータの保持期間がGA4では従来よりも短くなります。UA版では「14ヶ月、26ヶ月、38ヶ月、50ヶ月、自動的に期限切れにならない」から期間を選ぶことができましたが、GA4では「2ヶ月、14ヶ月」の2パターンしか選択肢として用意されていません。データ保持期間が切れれば1ヶ月毎にデータが自動的に削除されていきます。なお、デフォルトでは2ヶ月で設定されているため、14ヶ月に変更しておくことをおすすめします。
GA4では最長14か月のデータしか保持することができないため、過去のデータを保存しておきたい場合はレポートとしてデータをダウンロードして保存しておくか、BigQueryと連携するなどが必要です。
UA版との違い・変更点
UA版ではセッション単位を軸にデータを取得、分析していましたが、GA4ではユーザー単位を軸にしている点が大きな変更点となります。
UA版からGA4に切り替わった理由として、インターネットやアプリに関する技術発展が大きく関わっている点については前述しました。UA版がリリースされた2013年と比べて、現在はよりスマートフォンの普及が進み、外出先でもウェブサイトの閲覧がしやすくなっています。また、企業や団体とユーザーとの接触方法として、ウェブサイトだけでなくアプリも加わるようになり、アプリからウェブ、ウェブからアプリといった相互間のユーザー移動も行われるようになりました。つまり、あるひとりの人が家でサイトを閲覧し、その後、外出して出先でスマホからもう一度同じサイトを閲覧して購入に至ったり、アプリを利用中にウェブサイトに移動して問い合わせを行ったりする行動が一般的になったのです。
UA版のGoogleアナリティクスでは、コンバージョン経路のレポートでこのようなユーザー行動を追うことができましたが、完全に追いかけるには不十分でした。また、CVに至った最後のセッションにフォーカスがあたっており、同一のユーザーであってもそれ以前のセッションは軽視されやすくなっていました。
一方、GA4ではユーザーがどのメディアから“最初に”接触したのかといったレポートを出すことが可能で、最初のセッションにも注目することが可能です。顧客になり得るユーザーがどのくらい存在し、どのようにCVに至るのか、CVに至りやすくするためにはいつどのような施策が必要なのか、長期的にユーザーを追いかけやすくなったと言えるでしょう。
GA4(Googleアナリティクス4)とGoogle Search Console(サーチコンソール)を連携
GA4(Googleアナリティクス4)とGoogle Search Console(サーチコンソール)は、2021年12月に連携できるようになりました。
Google Search Console Twitterアカウントより
Google Search Console(サーチコンソール)はユーザーがサイト訪問する以前の情報を取得することができ、サーチコンソールを連携させることで、アナリティクスの管理画面上でサーチコンソールで取得したデータを閲覧することができるようになります。
GA4とサーチコンソールの関連付けは以下の手順で行います。
~Google Search Console(サーチコンソール)から連携~
設定→協力者
~GA4(Googleアナリティクス)から連携~
管理→プロパティ→Search Console のリンク
まとめ
今回はGA4について、どのようなメリットを持つツールで、UA版Googleアナリティクスとどのように違うのかを中心に解説しました。GA4の導入方法や新機能の具体的な設定方法などについては、別の記事で詳しく解説していきます。
GA4はUA版とは異なるため最初は使いづらいと感じるかもしれませんが、使っているうちに慣れていくものです。ぜひ積極的にGA4を利用して便利な機能をフル活用していきましょう。